『論語』とは、孔子と彼の弟子達の会話を、孔子の死後、本人ではなく門人たちが書き付けていた言葉や問答を、死後に取り集めて編集したものです。
企業の経営で最も大切にすべきことの一つに、ゴーイングコンサーン(継続企業)として私達を取り巻く利害関係者と良い関係を維持することがあります。良い結果を生むためにも、周囲の方々の協力が必要不可欠であることは言うまでもありません。この利害関係者は多様なニーズに対し、どのような姿勢で対応していけばよいのでしょうか。
【原文】
顏淵季路侍。子曰、盍各言爾志。子路曰、願車馬衣輕裘、與朋友共、敝之而無憾。顏淵曰、願無伐善、無施勞。子路曰、願聞子之志。子曰、老者安之、朋友信之、少者懷之。
公冶長第五 25
【読み】
顔淵・ 季路 侍す。 子 曰く、 盍ぞ 各 爾の 志を 言わざる。 子路 曰く、 願わくは 車馬 衣 軽裘を、 朋友と 共にし、 之を 敝りて 憾み 無からん。 顔淵 曰く、 願わくは 善に 伐ること 無く、 労を 施すこと 無からん。 子路 曰く、 願わくは 子の 志を 聞かん。 子 曰く、 老者は 之を 安んじ、 朋友は 之を 信じ、 少者は 之を 懐けん。
【解釈】
顔淵と季路とがお側に仕えていた。孔子先生はおっしゃった。
『それぞれお前達の志を話してごらん。』 子路は言った。『車や馬や着物や毛皮の外套(がいとう)を友人と一緒に使って、それが痛んだとしても、気にしないようにしたいものです。』 顔淵は言った。『善い行いを自慢せず、辛いことを人に押し付けないようにしたいものです。』 子路が言った。『出来るならば、どうか先生の志をお聞かせ下さい。』 孔子先生は答えられた。『老人には安心され、友達には信用され、若者には慕われるようになりたいものだね。』
孔子の志と、孔子の高弟である顔淵と子路の志が語られており、『万人に役立つ人間でありたい』とする孔子の素朴で実直な志が窺われる部分である。子路は、私欲を捨て自分の所有物にこだわらない鷹揚な考えを語っている。顔淵の理想は善行を基本とし、傲慢になることなく、他人の苦労や重荷を肩代わりしてあげたいとする「仁」の気持ちに満ちたものである。
【ワンポイント・アドバイス】
一つのことができるようになる、あるいは、一つのことを究めるということは、世の中の原理原則を知るということに繋がっている。具体的に言うと、目標を達成するためには、その意味を知り、具体的な達成のイメージを描き、自分の心に深く刻み込むことが大切であるし、その達成のイメージの中には、喜んでいる仲間の笑顔がある。仲間の笑顔を実現するための過程を想像してみれば、泣いたり笑ったり、嬉しかったり苦しかったり、様々な場面が浮かんでくる。人への配慮もしながら、己に克ち、目標を実現する経験は、きっと今後の働き方にも大きな学びとなるだろう。
あるコンサルタントが言った。
「もしあなたが本当に実現したいことがあるならば、この5枚の紙に実現したいことを5つ書き出しなさい。そして、その中の4枚は破って捨ててしまいなさい。残った1枚の実現したいことを1年間、本気で真剣にその事だけを考えて取り組んでみなさい。そして、1年後目標が達成されていなければ、その実現したいことはあきらめなさい。あなたにはその才能はありません。しかし、きっとあなたは1年後、その目標を達成していることと思います。」
あれもこれもというのではなく、1つのことにフォーカスする。そこには、迷いのない熱意が生まれるのだと思う。経営理念やビジョンを持つことで、何に情熱を注ぐべきなのかが明確になると私たちのエネルギーは大きな力を生み出す。是非、すばらしい経営理念と戦略を実現したい方、お声かけくださいませ。