『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取り集めて編集したものです。
社員を見ていると仕事を楽しめているか、あるいは、仕事にやりがいを感じられているかなどと思うことがある。他社の社員と話をすればやる気が高くて素晴らしいと感心する。求職活動中の人と話をすれば、こんなにも会社のことを悪く思っているのかと不安になる。社員に対してどうすることが、やる気を生み出すのだろうか。
【原文】
子曰、道不行、乘桴浮于海。從我者其由與。子路聞之喜。子曰、由也好勇過我。無所取材。
公冶長第五 6
【読み】
子 曰く、 道 行われず、 桴に 乗りて 海に 浮ばん。 我に 従う 者は 其れ 由なるか。 子路、 之を 聞きて 喜ぶ。 子 曰く、 由や 勇を 好むこと 我に 過ぎたり。 材を 取る 所 無し。
【解釈】
孔子先生がいわれた。
私の説く治国の道も、全く行なわれそうにないし、そろそろ桴にでも乗って海外に出てみようか。いよいよそうなった場合、私について来てくれるのは、由かな。子路はそれをきいて大喜びであった。すると孔子先生がまたいわれた。ところで、由は、勇気を愛する点では私以上だ。ところでお前は桴の材料はどうするんだい。
【ワンポイント・アドバイス】
孔子の学園のほほえましい情景が目に浮かぶような内容である。由というのは、子路という弟子の通称であり、論語の中で40か所以上も登場する弟子のことである。孔子に対して口答えをするなど、いつも叱られたり、たしなめたりしているが、純真で一本気であるがままの子路のことを孔子は一番かわいがっていたようである。
この節では、「いざという時はお前しかいないよ」と言われて舞い上がっている子路に、孔子が、「分別を無くしていて、心細いものだ」と、子路の性格を理解した上で遠回しに面白がって伝えている。孔子はありのままの子路の姿を承認しているため、自分らしくいられる環境も作っている。
今の自社の環境はどうだろうか。一人一人の想いやあり方が大切にされ、その存在が承認されているだろうか。逆に、会社の方針や上司からの指示にただ服従させたり、仕事だけの関わりになっていたりしないだろうか。
社員の物心両面の幸福を追求するという経営理念を持ち、一人一人の個性を大切にした経営を実践したい方がいらっしゃいましたら、是非ともお声かけくださいませ。一緒に経営者の想いを表現し伝え、同時に社員を理解する力を高め、経営者と社員が共に学びあう経営を実現していきましょう。