『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取り集めて編集したものです。
日々、経営に取り組んでいくと、うまくいったり、うまくいかなかったりといろいろなことが起こる。その中でも、従業員との関係において、経営者はどうあるべきか、あるいは、従業員はどうあるべきかわからなくなる時がある。組織をより発展させていくために、必要な考え方やスタンスとはどのようなものだろうか。
【原文】
定公問。君使臣。臣事君。如之何。孔子對曰。君使臣以禮。臣事君以忠。
八佾第三 19
【読み】
定公 問う、 君、 臣を 使い、 臣、 君に 事うるには、 之を 如何せん。 孔子 対えて 曰く、 君、 臣を 使うに 礼を 以てし、 臣、 君に 事うるに 忠を 以てす。
【解釈】
魯の国王である定公が、「君主が臣下を使う道、臣下が君主に仕える道についてききたいものだ」とたずねられた。孔子先生がこたえておっしゃった。「君主が臣下を使う道は礼の一語につきます。臣下が君主に仕える道は忠の一語につきます」。
上の人が下の人を使い、下の人が上の人に仕える時の心構えについて質問した訳である。孔子先生は、「上の人は下の人に対して、礼儀、つまり模範を示してやること。下の人は上の人に対して、忠義、つまり真心を尽つくすこと。」とおっしゃっているのである。
【ワンポイント・アドバイス】
「礼」というのは、人を愛するという意味である「仁」が、態度や行為として外面にあらわれたものである。古代中国における、人が従うべき社会の規範のことを意味している。一方、「忠」というのは「まごころ」であり、内なる心の誠、忠義のことである。
この一文で最も孔子が伝えたいことは、それぞれが置かれた立場で本分を全うすることが大切であるということだろう。本分というのは、人が本来尽くすべきつとめであり、役割・使命を全うするということである。
まずは、経営者と従業員、親と子、夫と妻というように、自分が与えられた役割・使命を認識することが大切であろう。その上で、自分の欲に振り回されることなく、役割を果たし、その関係や組織の発展や維持に努めるのである。それが、世の中全体の安定や平和につながっているのである。
自社の組織で、役割・使命、つまり本分を明確にし、素晴らしい経営理念・ビジョンを実現していきたいとお考えの方がいらっしゃいましたらお声かけください。一緒に、理想の経営を実現していきましょう。