『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取りまとめたものです。
仕事をしていると、人や仕事、本との出会いによって新たに気づかされることが多々ある。心酔してそうなりたいと願ったのも束の間で、その多くが忘却の彼方に消えてなくなってしまう。どうすれば、私たちの理想を実現していくことができるだろうか。
【原文】
子夏曰、日知其所亡、月無忘其所能、可謂好學也已矣。 子張第十九 5
【読み】
子夏 曰く、 日に 其の 亡き 所を 知り、 月に 其の 能くする 所を 忘るること 無きは、 学を 好むと 謂う 可きのみ。
【解釈】
子夏は言った。日ごとに自分のまだ知らないことを知り、月ごとに、すでに知り得たことを忘れないようにつとめる。そういう心がけであってこそ、真に学問を好むといえるだろう。
【ワンポイント・アドバイス】
忘却曲線(ぼうきゃくきょくせん)という言葉を聞いたことがあるだろうか。特に心理学者のヘルマン・エビングハウスによるものが有名であるが、人間というのは忘れる生きものであるということである。分かりやすく示すと下記のようになる。
要するに、学習した後に1日以内に再学習しなければ、その内74%は忘却してしまうということである。
私達、経営者は、非常に多くの情報や知識に触れる。その中には、深い感銘を受けるものもあれば、その時の自分には響かないものもある。さらに、心に響いたものを実践できているかというと、何かと理由をつけて実践できていない。まさに「論語読みの論語知らず」である。
また、現代で「学問」と言うと、高校や大学で学ぶ学術的なものや科学的なもの、という印象があるが、論語の言う「学問」はそれとは異なり、素晴らしい生き方の思想であり、行動である。結局、本来の学びに変えるまでにはたくさんのハードルがあり、いわゆる、血肉化に至らないことが多い。学んだことを自分のものにするには、一つのことに打ち込むこと、行動することが必要といえるだろう。実行する中から、さらに智慧を生み出すことができたならば、それを後進に伝えることで、より素晴らしい思想として伝えていくことができるのではないだろうか。自身の経営理念やフィロソフィーを作り上げ、もっともっと素晴らしい経営を実現したい方は、是非お声かけくださいませ。