『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取りまとめたものです。
経営者であれば、自分の経営理念・方針をもとに経営をしていくことが非常に大切であると理解していることでしょう。さらに、自分はすばらしい使命感や思想を持った経営者でありたいと願うことでしょう。しかし、端から見るとみると素晴らしいと言える人とそうでない経営者がいます。一体どうしたら、素晴らしいと言われるようになるのでしょうか。
【原文】
子曰、回也、其心三月不違仁。其餘則日月至焉而已矣。 雍也第六 7
【読み】
子曰く、 回や、 其の 心 三月 仁に 違わず。 其の 余は 則ち 日に 月に 至るのみ。
【解釈】
孔子先生がおっしゃった。
「顔淵よ、ただ三ヶ月の間で良いから、心が仁徳に背かないようにしなさい。三ヶ月を過ぎてしまえば、仁以外の残りの徳も、自然な日月の流れの中で身についていくだろう」。
孔子は、他者に対する思いやりの情愛である『仁』を最大の徳としており、その仁の徳さえ心に上手く定着させることが出来れば、それ以外の徳も自然に身についてくると考えていました。その為、将来有望な弟子の顔回に、まずは三ヶ月の間、心が仁徳から離れないようにせよと教えたのです。
【ワンポイント・アドバイス】
『利他の心が大切である』と学ぶと、多くの経営者は意識も変わり、態度や行動を変化させることができるでしょう。それは、経営者たる素質を十二分に兼ね備えていることを示しているということでしょう。三日くらいであれば、何とか意識し続けることができるかもしれませんが、なかなか三ヶ月もの長い間持続することは非常に難しいのではないでしょうか。
もし三ヶ月間持続することができたなら、皆さんはどんな人になれるでしょう。きっと、がむしゃらに利他の心を追求することで、自然に人に対する情愛を感じ、それを生かして接せられるようになっています。自分らしさもそこに加わり、血肉化していることではないでしょうか。
すなわち、「志は三ヶ月の間、変わることがなければ本物になる」と言うことです。私も自分の理想を追い求めておりますが、あっという間に積み木崩しのように、積み上げてきたものがばらばらになる瞬間に数多く出くわします。しかし、それでも、「絶対にあきらめるものか」と何度でも心に誓い、立ち上がり続けています。そうすれば、必ず自他ともに認める立派な君子になれると信じています。このような経営理念を追求し、それが実現できる経営者になりたい方がいらっしゃいましたら是非ともお声かけください。一緒に素晴らしい経営者に近づいて行きましょう。