『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取り集めて編集したものです。
経営者やリーダーとして自己改革を望んでいる人は多く、「理想の姿」を実現したいと思うことそのものが非常に尊いものでもあります。変化を望みながらもうまくいかず悩んでいる方も、今後も全くその方法が見えないという方もいらっしゃると思います。そのことで成長しているに違いないわけですが、もっと確実に変化するにはどうしたらよいのでしょうか。
【原文】
子曰、唯上知與下愚不移。 陽貨第十七 3
【読み】
子 曰く、 唯 上知と 下愚とは 移らず。
【解釈】
孔子先生がおっしゃった。
最上位の賢者と、最下位の愚者だけは、永久に変らない。
【ワンポイント・アドバイス】
ここで言う賢者というのは、言葉、行動、感情の使い方の良い習慣を持っている人のことであり、その逆に愚者とは、同じことに関しての悪い習慣を持っている人のことである。良い習慣を持っている人は善循環となり、人格をますます高めることに向かっていくことができるが、その逆に、悪い習慣を持っている人は悪循環に陥り、その人格をますます低下させてしまうものである。
特に経営者ともなると、自分では気づかない悪いところをフィードバックしてもらえることは少ないし、更に、驕りや高ぶりがあるとフィードバックを台無しにしてしまうことがあるのではないだろうか。挙句の果てに、自分に諫言してくれる人を遠ざけてしまい、自分を知り成長する機会を放棄してしまうこともある。我が身を振り返ってみると、自分が攻撃されるという恐怖から、意見する人を遠ざけることも無意識のうちにしてしまっているようにも感じる。
逆に、素晴らしい経営者というのは、自分にとってネガティブな言葉であっても、相手が伝えている諫言を善意で持って受け止め、感謝の気持ちを忘れることがない。つまり、相手の言葉を成長の糧になるかどうかという視点で扱っているのである。人と向き合うことは、ある意味、怖いことであるが、相手を信じる心があってこそ人の意見を正しく受け入れ、私たちは成長していくことができるのだと痛感する。
私たちリーダーは、人間の勉強をしなければならないわけであるが、このような怖いという心の動きを整え、相手と向き合うことでしか成長の機会を得ることはできないのではないだろうか。人と向き合うことに焦点を当てた自己改革が常に求められているのだと思う。
世のために人のためになる経営を実現するために自分が成長する。そのような理念型経営を共に実践していきませんか。自分の言葉や行動、感情を良く理解することで、理想の経営者に近づきたい方は是非ともお声かけください。