『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を、取り集めて編集したものです。
経営をしていると、自分の欲に振り回され自己中心的になったり、相手や周囲の人との調和ができなくなったりすることがある。そのような姿が理想ではなく、世のため人のために貢献している自分でありたいと願っている方はきっと多いはずである。それでは、志高く心を美しくするにはどうしたらよいのだろうか。
【原文】
子曰、有徳者必有言。有言者不必有徳。仁者必有勇。勇者不必有仁。 憲問第十四 5
【読み】
子 曰く、 徳 有る 者は 必ず 言 有り。 言 有る 者は 必ずしも 徳 有らず。 仁者は 必ず 勇 有り。 勇者は 必ずしも 仁 有らず。
【解釈】
孔子先生がおっしゃった。
「修養して徳を得た人は必ず良いことを言う。しかし良いことを言う人は必ずしも徳が備わっているとは限らない。最上の人格者は必ず勇気が備わっている。しかし勇気のある人が必ずしも人格が備わっているとは限らない」
【ワンポイント・アドバイス】
志が高い人というのは口がへたくそであっても味があり、その思いやりや真心が感じられるものである。その一方で、志が低く、自分の欲を満たすことばかり考えている人というのは、口先ばかりで説得力がない。
「粗にして野なれども卑ならず」という俗諺があるが、この篇ではそのことを表現している。「粗野(行き届かず野暮である)でありながら志が卑しくない」という意味であり、気高さは言葉ではなく心にあるということである。人の目は節穴ではなく、仕事や人間関係、そして、人生においても志の尊卑がもっとも問われることなのである。
志高く心を美しくするためには、自分の人生で本当に実現したいことは何か、自分が人生を生きる意味は何か、そして、世のため人のために自分が貢献できることは何かと問い続け、日々、反省と感謝を繰り返すしかないだろう。完璧な人などいないのだから、時には自分を見失い、人格が崩れてしまいそうな時もあるが、諦めることなく自分に求め続けることが大切ではないだろうか。
だからこそ自分の心を深く理解した上で、事業目的を文書化した経営理念をつくり、それを社内外に浸透させる理念型経営を導入してみませんか。何度も繰り返し経営理念を読み返し、自分の原点に戻ることで、理想の経営、経営者像に近づいてみたいと思いませんか。ご希望の方は何でもご相談くださいませ。