『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取りまとめたものです。
経営をしていると従業員に対する不満のある方は多いのではないでしょうか。従業員を見れば見るほどによく問題点が見えてきます。それをそのまま従業員に向けて注意したとしてもなかなか事態が改善されることは少ないのではないかと思います。それでは、どのような心を持ち、行動をすると良いのでしょうか。
【原文】
季康子問政於孔子。孔子對曰。政者正也。子帥以正。孰敢不正。 顔淵第十二 17
【読み】
季康子、 政を 孔子に 問う。 孔子 対えて 曰く、 政なる 者は 正なり。 子、 帥いるに 正を 以てせば、 孰か 敢えて 正しからざらん。
【解釈】
季康子は、政治について孔子に尋ねた。孔子先生はおっしゃった。
政治の政という字の意味は正ということです。あなたが真っ先に立って正しいことを行うのであれば、誰が正しくないものがありましょう。
自分の治めている国に盗人が多いことを憂えて季康子は孔子に相談しました。正しいことというのは、無欲で人民のために本当に正しいことができるのであれば、必ず盗人はいなくなるということを説いています。
【ワンポイント・アドバイス】
経営を考える際に、経営理念やビジョンが重要であるに違いありません。しかし、その経営理念が誰かに言われてしぶしぶとつくったものであり、お飾りのようなものになっていたりすることが多々あります。それは、経営者自身が本当にきれいな心で描いたものではなく、私利私欲があったり、いい加減さがあったりと自己管理のできていない心で描いたものなのではないでしょうか。
人の心は鏡のようなものだと言われます。経営者として従業員に問題を抱えているときこそ、自分の身を振り返らなければなりません。自分の言葉に嘘はないか、自分の行動は正しいか、世のため人のために尽くせているか。その自問自答を繰り返しながら、言行一致を図っていくことこそが、経営道を究めるということではないかと思います。人に対する不満があるときこそ、自分の言動を慎み、その心の中の不純物を取り除き、きれいにすることが大切なのです。
自分自身の心が本当に求めることを文書化する。つまり、文書化された経営理念やビジョンを持つことで、従業員に対して何が正しくて、何が間違いなのかを共に学び合うことができれば、みんなが美しい心と姿でそこに向かえると思います。是非、すばらしい経営を実現したい方、お声かけくださいませ。