『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取りまとめたものです。
経営者は、様々な意思決定の場面に直面し、決断を迫られる場面が非常に多いと思います。そのような時に、何を意思決定の基準として持っているでしょうか。そして、自分の意思決定の結果が、経営にどのようなインパクトを与えているでしょうか。従業員と経営者の壁を超えることは難しいという言葉がありますが、意思決定の結果をお互いに納得のいくものにするためにはどうしたらよいでしょうか。
【原文】
子貢問政。子曰、足食、足兵、民信之矣。
子貢曰、必不得已而去、於斯三者何先。
曰、去兵。子貢曰、必不得已而去、於斯二者何先。
曰、去食。自古皆有死、民無信不立。 顔淵第十二 7
【読み】
子貢、 政を 問う。 子 曰く、 食を 足らし、 兵を 足らし、 民 之を 信ず。
子貢 曰く、 必ず 已むを 得ずして 去らば、 斯の 三者に 於いて 何をか 先にせん。
曰く、 兵を 去らん。 子貢 曰く、 必ず 已むを 得ずして 去らば、 斯の 二者に 於いて 何をか 先にせん。
曰く、 食を 去らん。 古より 皆な 死 有り、 民、 信 無くんば 立たず。
【解釈】
子貢が政治の要点について質問した。
孔子先生がおっしゃった。「食糧を十分にし、軍事を十分にし、人民に信用してもらうことだ。」
子貢が質問した。「もし、やむを得ない理由で、この3つのうちのどれかを諦めなければならないとしたら、どれを先に諦めましょうか。」
孔子先生がおっしゃった。「まずは、軍事を諦めよ。」
子貢が更に質問した。「もし、やむを得ない理由で、残りの2つのうちのどちらかを諦めなければならないとしたら、どちらを先に諦めましょうか。」
孔子先生がおっしゃった。「食糧を諦めよ。元来、人はみな死ぬ定めにあるが、人民に信頼がなければ国家は成立しないのだから。」
つまり大切なことは、より良い生き方をすることだと言っているのだろう。軍備は無くても、当然、生きていくことができる。食糧が尽きると死んでしまうかもしれないが、人はいずれ死を迎える存在なのであれば、もっと大切なものがある。それが信頼なのである。
【ワンポイント・アドバイス】
国を治めることと経営をすることは近いものなのです。配下の部下を性善たらしめ、安心して生き生きと働いてもらうためには、自己重要感が必要であると思います。自分が大切にされているということ、その場に貢献できる存在であるという認識がその基となります。更に、何よりも「あなたとの関係が大切。」と言ってもらえたとしたら、大きなエネルギーを生み出す事ができるでしょう。経営者はそれにふさわしい言動をする必要があることは言うまでもありません。
このような従業員とベクトルを合わせ、信頼関係を築き、自らの考えや行動を更にレベル高いものにしていきたいという経営者の方がいらっしゃいましたらお声かけくださいませ。共に理念型経営を実践していきましょう。