『論語』とは、孔子の門人たちが書き付けていた孔子の言葉や問答を、孔子の死後取り集めて編集したもの。
孔子は、実力主義が横行し身分制秩序が解体されつつあった頃、魯国に生まれ、身分制秩序の再編と仁道政治という理想を掲げた。孔子の弟子たちは孔子の思想を奉じて教団を作り、戦国時代、儒家となって諸子百家の一家をなした。このようにして孔子と弟子たちの語録は『論語』にまとめられ、様々な思想家を生み、現在に至るのである。
【原文】
子曰。爲政以徳。譬如北辰居其所。而衆星共之。 為政第二 1
【読み】
子 曰く、 政を 為すに 徳を 以てす。 譬えば 北辰の 其の 所に 居て、 衆星の 之に 共うが 如し。
【解釈】
孔子先生がおっしゃった。
「政治の根本は、徳である。徳とは、たとえて言えば北極星のようなもの、どっしりと真ん中に座っているだけで、他の星はすべてそのまわりを整然と廻っている。」
政治を行うには、常に道徳を根本にすべきであるということが述べられている。君主が高い位にいて政治を行うとき、道徳を根本においているなら人々は悦んで従い、他の諸国もなびいてくるようになる。そのさまは、例えるならば天の北極星が常に一定の場所にいて動かず、満天の星々がこれを中心として仰ぎ、グルグル廻るようなものなのだということである。これはまさに経営そのものであり、経営の理念や信条が世のため、人のためになるものであれば、そのリーダーを中心に人は動く。そして、社内のスタッフのみならず、それはお客様や協力者をも惹きつけ魅了し、厳しい戒律や法律のようなものを作らなくとも、事業活動を運営していくことができるのである。要するに、道徳を主役として、法律はわき役にせよという意味なのである。
【ワンポイント・アドバイス】
企業経営における徳とはなんだろうか。最近は経営者や企業の様々な集まりがあり、その中で取り上げられているのは、経営理念とか、経営指針とか、経営フィロソフィーとかという言葉であり、まさに、これらの言葉で表現されたものが徳なのではないだろうか。利他の心や、相手の為になる事、もっというと人間として正しい事を含んだ想いには、人の心を動かす力があるし、組織の土台をつくる力がある。その想いをより具体的で詳細にすることこそ経営であり、売上や利益を上げるということに繋がる事業の本質なのではないだろうか。私自身は、日々、至らない自分と向き合い少しでも理想の状態に近づけて行こうとしている。その姿勢が素晴らしい経営を作り上げていくのだと固く信じている。もし、このような経営フィロソフィーを作ってみたいという方がいらっしゃいましたら、お声かけくださいませ。共に創り上げていきましょう。