『論語』とは、孔子と彼の弟子達の会話を、孔子の死後、本人ではなく門人たちが書き付けていた言葉や問答を、死後に取り集めて編集したものです。
最近の若者は「直ぐに会社を辞めてしまう」とか、「会社になかなかなじめない」という声を良く耳にする。様々な企業があるが、逆に「うちの会社は離職率が非常に低いんです」ということを言われるケースもある。給与や労働時間、仕事内容などの労働条件が大きく影響している場合もあるが、本当にそれだけなのだろうか。そのヒントになる論語の一節がある。
【原文】
子曰、愛之能勿勞乎。忠焉能勿誨乎。 憲問第十四 8
【読み】
子曰く、 之を 愛しては 能く 労すること 勿からんや。 忠ならば、 能く 誨うること 勿からんや。
【解釈】
孔子先生がおっしゃった。
「人を愛して、どうしていたわり励まさないことがあるだろうか。その愛すべき人に対して真心があるならば、どうしてその人のために心を込めて教え導かないことがあろうか。」
【ワンポイント・アドバイス】
企業にとって従業員は経営をしていく上でなくてはならない存在でもあるし、縁があって同じ組織に属することになった従業員を心から愛してあげなければならないということである。そして、その成長のために真心を持って、優しくも、時には厳しくも接していくことは非常に重要なことである。
逆に、従業員の立場からすれば、経営者や管理職、先輩は、従業員に期待をし、手間暇をかけて育てようとしてくれていることを前向きに捉える必要がある。要するに、感謝と反省をしながら、仕事へのやりがいを感じ、他者に対する思いやりのある心優しい人になっていかなければならないのである。そして、色々な苦難はあるかもしれないが、それらも全て乗り越えて、会社に役に立ち、周囲に良い影響を与えられる人にならければならないし、それら全ては、深い愛情を持って接してくれる人々の期待に応えるということでもある。
小善は大悪に似たり、大善は非情に似たりということで、タイトルにもあるように、愛があるからこそ厳しく接することが必要なのであるが、その前に、しっかりとした信頼関係を築くこと、そして、絶対に見捨てられることはないと思ってもらえるような勇気づけられる場づくりをすることが、その人のやる気と能力を高めるということを忘れてはならない。このような人を大切にする素晴らしい理念型の経営を実践したい方がいらっしゃいましたら、ぜひともお声かけください。