『論語』とは、孔子と彼の弟子達の会話を孔子の死後、本人ではなく弟子たちが記録した書物です。
経営をしていると、どのような経営者になったら良いのか、あるいはどのようなビジョンや戦略を構築したらよいかと迷うことがあるだろう。学ぶということは、人から学ぶか、本から学ぶかのいずれしかないと言われるが、具体的に学びを自分のものにするにはどうしたらよいかと悩むことがあるだろう。今回は人から学ぶにはどうしたらよいかという問いに答えたい。
【原文】
孔子曰、見善如不及、見不善如探湯。吾見其人矣。吾聞其語矣。隱居以求其志、行義以達其道。吾聞其語矣。未見其人也。
季氏第十六 11
【読み】
孔子 曰く、 善を 見ては 及ばざるが 如くし、 不善を 見ては 湯を 探るが 如くす。 吾 其の 人を 見る。 吾 其の 語を 聞く。 隠居して 以て 其の 志を 求め、 義を 行いて 以て 其の 道を 達す。 吾 其の 語を 聞く。 未だ 其の 人を 見ざるなり。
【解釈】
孔子先生がおっしゃった。
「善行を見ては、及ばずながらもそれを追求し、不善な行いを見ては、熱湯に手を入れるのを恐れるようにそれを避ける。そういう言葉を私は聞いたことがあるし、また現にそういう人物を見たこともある。しかし、世に用いられないでも志を貫き、正義の実現に精進して、その道を究めた、というようなことは、言葉では聞いたことがあるが、未だ実際にそういう人を見たことがない」
【ワンポイント・アドバイス】
素晴らしい行いをする人を見たら、少しでも近づけるように努力するしかない。また、悪い行いを見たら、「人のふり見て我がふり直せ」というように、自分の言動の改善に活用すればよい。これらの情報を活用して、自分はどのような人になりたいのかを考えるのもよいだろう。
もし、憧れる人がいたら、単なる憧れに終わらせないことが大切だ。憧れは憧れで終わり、その人を超えることはないと言われる。憧れではなく、ライバルとして設定し、その人に勝つためにはどのようにしたらよいかを考え抜くとよいだろう。そのことで、自分が望んでいる人の具体的なイメージを描くことが容易になる。表情、声のトーン、ジェスチャなど、その人が成功する理由をふんだんに感じることができるだろう。
素晴らしい経営者をライバルとして設定してみてほしい。きっとそこには、経営のマインドやスキル、そして、人格などが感じられるだろう。その源泉となるのが、経営理念やビジョンであると思う。憧れの経営者に負けないような経営をしたいと考えている方がいらっしゃいましたら、是非とも御声掛けください。理念型経営やビジョナリー経営を実践していきましょう。