『論語』とは、孔子本人が書いたのではなく、孔子の死後、彼の弟子たちが書き付けていた言葉や問答を取りまとめたものです。
消費税が上がり景気が後退し、大幅な円安により、小規模企業の倒産が相次いでいるという話があります。どのような会社が倒産しているのかを考えてみると、旧態然としたビジネスモデルであり、コツコツと真面目な取組みをしているが、環境の変化についていけていないということが理由であると思います。その一方で、ベンチャー企業のように、ハイレベルの技術開発に取り組むが、資金繰りがうまくいかず、倒産する等のケースもあります。それではどのような経営スタイルを持つことが大切なのでしょうか。
【原文】
子夏爲莒父宰、問政。子曰、無欲速。無見小利。欲速則不達。見小利則大事不成。
子路第十三 17
【読み】
子夏、 莒父の 宰と 為り、 政を 問う。 子 曰く、 速かならんと 欲すること 無かれ。 小利を 見ること 無かれ。 速かならんと 欲せば、 則ち 達せず。 小利を 見れば、 則ち 大事 成らず。
【解釈】
子夏が呂父の長となった時に、政道について質問した。先生はお答えになられた。「功を急ぎすぎてはいけない。小さい目先の利益にとらわれてはいけない。焦って功を急ぐと手落ちがおき、目的を達成できない。小さな利益にとらわれれば大きな事は実現できない」。
【ワンポイント・アドバイス】
呂父の長に任じられた門弟の子夏に対して、孔子が与えた行政上の忠告をしている場面です。巧遅拙速という言葉は、巧みで遅いより拙くても速い方が良いという格言ですが、政治においては速いだけではいけないと孔子が言っています。つまり、拙速になって性急すぎる政治をしても上手くいかないし、小さな目先の利益を追いかけていては人民を安楽にする本当の大局的な政治はできないというわけです。
人には性格・特性があります。コーチング等で言うソーシャルスタイルと呼ばれるものですが、結果を求めて大胆に豪快に仕事を進めるコントローラータイプもいれば、緻密に細心さをもって進めるアナライザータイプもいます。どちらか一方が良いというものではなく、「大胆さ」と「細心さ」を兼ね備えるということが重要です。
この「大胆さ」と「細心さ」を合わせ持つために、リーダーは自分の特性を知らなければなりません。自分の持っていない特性に気づいた時には、他の人の視点を取り入れていくのです。そのためには、自分とは違う特性を持った人、あるいは、自分よりレベルの高い人との付き合いの中で学び、そして、行動して自分のものにしていくことが重要なのです。あとは、裸の王様になってしまうのではなく、あえて自分と全く違うタイプの人と手を組み、自分の弱みを補ってもらうことではないでしょうか。このように理念を実現する「着眼大局、着手小局」の素晴らしい事業計画を作りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひともお声かけください。